15th Anniversary Abe Mao

Official Interview

デビュー15周年を迎えた阿部真央から新曲「進むために」が届けられた。
集英社「別冊マーガレット」で連載中の「君を忘れる恋がしたい」(結木悠)のコミック第2巻発売記念のイメージソングとして書き下ろされた「進むために」。“この恋がどういう結末を迎えても、自分自身で決着を付けたい”という女性の凛とした感情を描いたロックチューンに仕上がっている。

「原作のマンガを読ませてもらったときに、主人公の女の子がすごく強いなと思ったんですよね。1度諦めた恋にもう1回向き合うチャンスが来たんだけど、相手の男の子は以前とはちょっと変わってしまっていて。惹かれる気持ちもありつつ、どこかで『無理なんじゃないか』という思いに押しつぶされそうになりながら、『どういう結果になっても、自分で全てを引き受ける。だからこの恋に向き合おう』と決める。すごく素敵なストーリーだなと思ったし、女性性の強さーー受け入れる覚悟、結果を見届けようとする忍耐力――に訴えかける曲にしたいなって」

女性が主体性を持ち、好きな人との関係を受け止め、自分自身の意思で未来へと進んでいく。「進むために」に込められた思いは、阿部真央自身の現在の心境ともリンクしているという。

「共感したというより、“そうありたい”というか。最近ようやく、私もそれが出来るようになってきたんですよ。それはやっぱり事務所から独立したときに学んだことが大きいと思います。プライベートと仕事は違うかもしれないけど、自分のなかに『こっちに進みたい』『こうなりたい』という強い気持ちがあれば、物事はそれに向かって動き出すし、協力してれる人、力を貸してくれる人ともつながれるんだなって。恋愛や人間関係のことで言えば、「自分が求める関係はこうだ」「こういう形で幸せになろう」と決めれば、自ずと必要のない縁が切れたり、新しい出会いにつながると思うんですよね」

〈どんな未来でも見つめる覚悟は/待ってる時間で決めてたから〉〈それでもまだ願いが叶うなら 君に届け〉などストレートな表現もこの曲の魅力だ。

「何のことを歌ってるかがはっきりわかる方がいいなと思ったし、とにかくわかりやすくしたかったんですよね。結木先生とお話をする機会もあったんですが、曲を聴いてくれて「自分が描きたかたかったことをこんなにもわかってもらえたんだなと思いました」と言ってくださったこともうれしかったし、自信になりました。私としては〈既読のついたメッセージ〉という歌詞が書けたこともよかったなと思っていて。15年前に〈昨日送ったメールの返事はやはり〉(『貴方の恋人になりたいのです』)と歌った私ですけど、ついに歌詞のなかでメッセージ・ツールのアップデートができました!って」

サウンドのイメージは、“焦燥感や若さが感じられるロックチューン”。ライブ感のあるバンドサウンドと疾走感に貫かれたビート、エモーショナルな歌声が響き合い、幅広いリスナーを惹きつける楽曲へと昇華している。

「普段、結木先生や編集の方が打ち合わせしてるときに邦ロックをよく聴いているらしくて。そのプレイリストを送ってもらって、『だったらアップテンポのバンドサウンドがいいだろうな』と。アレンジはakkinさんにお願いしたんですが、いろいろと注文を出させていただきました(笑)。さっきも言ったように女性の強さを歌いたかったから、ギターの音色を少しクリーンにしてもらったり。若くて焦燥感はあるけど荒くはない、いいバランスのサウンドになったと思います。ライブ映えする曲でもあると思うので、ステージで歌うのも楽しみですね」

そして8月7日(水)には、ニューアルバム「NOW」のリリースも決定。「I’ve Got the Power」「Keep Your Fire Burning」「進むために」などが収録される本作には、まさに“今”の阿部真央がダイレクトに表現されている。

「5周年、10周年のときもそうだったんですけど、周年ってベストアルバムを出したり、振り返ることが多いじゃないですか。今回は独立を経てからの新曲が中心だし、しっかり“今”を表したいと思って」

さらにアルバムタイトル『NOW』にも、彼女自身のここ数年の変化や成長が関係しているという。中心にあるのは「ようやく“今、此処にいる”という実感が持てるようになった」という感覚だ。

「アルバムのなかに『Maybe』という曲があるんですけど、英語詞で〈ときどき自分が此処にいないような気がする〉と歌っていて。実際、そういう感じがずっとあったんですよね。人とお話していても、ちょっと先のことに気を取られたり、過去のことが頭をよぎったりして、じつは小さい頃からそういうタイプだったんですが、歌を歌っているときだけは“今、此処にいる”感覚が持てた。カッコ良く言うと、歌ってるときだけは生きているという実感があったんです。だから歌い続けてこれたんですけど、最近やっと、普段から自分を取り戻せるようになってきて。それはきっと音楽性や活動の状況、生き方を含めていろいろと再構築したことが大きいんですよね。今回のアルバムも“此処にいる”という感覚で書けた曲たちが収録されているし、それがアルバムの一つのテーマになっていると思います」

音楽的な広がりもアルバム『NOW』の大きなポイント。前作『Not Unusual』では鍵盤で作曲した曲、R&Bのテイストを取り入れた楽曲なども収められたいたが、本作はそのなかで得たものを汲みつつ、より自由な音楽世界を構築しているようだ。

「前作のアルバムで幅が広がったからこそ、いい意味で楽器の構成やアレンジは何でもいいと思えるようになって。自分が作った歌を最適なサウンドで聴いてもらいたいという気持ちが強いですね。『Keep Your Fire Burning』はちょっとカントリー寄りなんですが、アニメの曲(TVアニメ『望まぬ不死の冒険者』エンディングテーマ)だったこともあって、海外の方もコメントをくれて。”日本にもこういう曲をやるアーティストがいるんだね”という意見もあって、うれしかったですね」

8月から9月にかけて弾き語りツアー「15th Anniversary Abe Mao Solo Live Tour 2024」、さらに10月には全国5か所のZeppツアー「15th Anniversary Abe Mao Zepp Live Tour 2024」。新曲「進むために」、アルバム『NOW』、そして2本のライブツアーを通し、阿部真央の“今”を体感してほしい。

「弾き語りツアーはかなり濃い内容になりそうですね(笑)。Zeppツアーは久々にフルバンドのステージなので、バンド映えする曲もやりたくて。新曲とアルバムをしっかり聴いていただいて、みなさんに来てほしいです!」